2009/07/08

セマナ・ネグラ2009

 日本のTVなどは今、スペインというとサン・フェルミン祭のニュース一色ですが、スペイン版ミステリ大会、セマナ・ネグラ(直訳すると「黒い週間」)が近づいています。

◆ 第22回セマナ・ネグラ公式ページ

 期間は7月10日から19日、場所はアストゥリアス地方ヒホンの海岸に作られた特設会場です。
 もともとはヒホン出身のパコ・イグナシオ・タイボ2世(今はメキシコの作家、ということになってますね)の発案で始まり、スペイン内外から作家・編集者から読者まで、ミステリ関係者を集めるミステリ界の一大イベントに。とはいっても、お祭り好きのスペイン人のこと、マジメな作家講演会ばかりでなく、野外コンサートや臨時遊園地、もちろん各種屋台まで出て、ミステリに全然関係のない人たちまで集めてしまう夏のイベントになっているようです(^^;。

 出席する主な作家のリストはこちら

 日本でおなじみのところでは、『ラブ・ストーリーを読む老人』『カモメに飛ぶことを教えた猫』のルイス・セプルベダあたりですか(プリマベーラ賞受賞しているんですが、これから記事書きます……)。
 なんとフェルナンド・マリーアスも、と結構びっくりしましたが、ノワール映画好きを表明していますよね。ラウラ・レストレーポ(アルファグアラ賞)も、アロンソ・クエト(エラルデ賞受賞作がサスペンスだった)も、イグナシオ・パディーリャも……。

 純ミステリでは『オックスフォード連続殺人』のギリェルモ・マルティネスですね(イライジャ・ウッド主演の映画はどうなったでしょうか?)。

 また、スペインSF界でおなじみの作家たちが参加しているのが目に付きます。
 たとえば、ハビエル・ネグレテ、ビクトル・コンデ、フアン・ミゲル・アギレラ、エリア・バルセロ(ここのプロフィール欄に "El mundo de Jarek" とあるのは "El mundo de Yarek" の間違いです<処女中編。)、フェルナンド・J・ロペス(第6回ミノタウロ賞受賞<これも記事まだでした。)、ロドルフォ・マルティネス、レオン・アルセナル、ホセ・アントニオ・コトリーナ、フェリックス・J・パルマ、ラファエル・マリン・トレチェーラなど。

 実は、このセマナ・ネグラ期間中にいろいろとジャンル別に賞の発表があります(5種類)。ハメット賞、というのがミステリの賞なのは当然として、SFの賞もあります。しかも、会期中に「アストゥルコン」(アストゥリアス+コンベンシオン)というSFのイベントも11(土)~12(日)の二日間でやってしまうので、SF関係者もぞろぞろ集まってくるということのようです。

 時間があったら、この賞のノミネート作・受賞作なども見ておきたいところなんですが……。
 ひさしぶりに、スペインのミステリ界についての話題でした。

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2009/07/02

ブレーベ叢書賞2009

 先日の記事から一ヶ月以上空いてしまいました。今度こそ文学賞ニュースの遅れを取り戻さないと。

 まずはビブリオテカ・ブレーベ。発表は2月9日でした。
 

premio Biblioteca Breve 2009

Clara Usón : Corazón de Napalm

 著者クララ・ウソンは1961年バルセローナ生まれ。これまでに4冊の小説を上梓、うち'Las noches de San Juan' が1998年 premio Femenino Lumen を受賞しています。

 物語の時代設定は1984年、13歳の主人公フェデが母を訪ねて三千里……じゃなかった、父と継母の家を飛び出して実母を探しに行く話と、女流画家マルタの話が並行して語られます。

◆ リンク: Clara Usón gana el premio Biblioteca Breve(El País).

◇ 2008年ブレーベ叢書賞
◇ 2007年ブレーベ叢書賞
◇ 2006年ブレーベ叢書賞
◇ 2005年ブレーべ叢書賞

◎ ブレーベ叢書賞受賞作品

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2009/05/19

マリオ・ベネデッティの訃報

 お正月の松も取れないうちから公私共に忙しすぎるまさかの展開になってしまいまして、いくらなんでもブログを放置しすぎだと反省中(<何度目だ)。

 さて、最近職場のBGM代わりにRTVEのネットラジオ放送を流すようになったのですが、昨日聞こえてきたのが掲題のニュース。88歳だったんですね。新聞によると晩年はあちこち具合が悪くなっていたようす。今朝のニュースなど聞いているとウルグアイでは国葬級の扱いになりそうな勢いです。

 あと最近気になってるのは、ウーゴ・チャベスが出版物の検閲・言論統制の危険な道を突き進んでることなんですが……もちろん春の文学賞も次々と発表されていますし、以前より短くても少しずつアップしていきたいと思います。
 (とりあえず仕事に戻りますが、後で追加するかもしれません)
 
 

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2009/01/07

ナダル賞2009

 日本では七草、お正月気分も一段落という頃ですが、エピファニーア(公現節)の夜といえばナダル賞。まずは結果から。

第65回ナダル賞 /65ª edición del Premio Nadal
Maruja Torres : 'Esperadme en el cielo'
finalista
Rubén Abella : 'El libro del amor esquivo'

 マルーハ・トーレスは1943年生まれバルセローナ出身。新聞記者として仕事をするうちに文筆業に入ったひとで、フリオ・イグレシアスの評伝なんかも書いています。小説は十数年前から。2000年プラネータ賞受賞(Mientras vivimos).
 受賞作は飛行機やロケットの話じゃなく(笑)、三途の川の向こう、あ違った、天国で待っててねheart01ということで。作者を投影した主人公が、同じバルセローナ出身で2003年あいついで故人となった二人の作家、マヌエル・バスケス・モンタルバンとテレンシ・モッシュと天国で語りあう……というような内容。この二人に対しては単にプラネータ賞の先輩である同年代の作家、というだけでなく、バリオ・チーノで生まれ、現在のラバル地区への再開発の様子を間近で見てきた仲間、という同志意識があるような、報道向けのコメントでした。

 次点のルベン・アベリャは1967年バリャドリッド生まれ、写真家でもあります。今回の作品も女性パパラッチが三人の主人公のひとり。タイトルから21世紀版 Libro del Buen Amor なんて言われているようですが、どうなんでしょう。トレンテ・バリェステール賞を La sombra del escapista で受賞しています。

 ところで、昨年末(12月17日)ひとつのニュースが文化面に……、ナダル賞作家の訃報でした。それが、なんと2008年の受賞者フランシスコ・カサベラ。死因は心筋梗塞とのことで、45歳、まだこれからという年齢であっただけに大変びっくりいたしました(RIP)。そういうわけで、昨夜のナダル賞授賞式は、例年なら前年度受賞者がプレゼンターとなるところ、式の冒頭で昨年度次席のエバ・ディアスがカサベラの受賞作の一節を朗読し、追悼するというかたちで始まったようです。

 また、今年が記念すべき(?)65回目ということで、1月8日にナダル賞第一回受賞作、カルメン・ラフォレの Nada の新装版が出版され、同時にラフォレの娘クリスティーナ・セレサレスが母ラフォレを描いた伝記小説 Música blanca が発表されることになりました。

◆リンク: El barrio soñado de Maruja Torres.(EL PAÍS)

ナダル賞2008
ナダル賞2007
ナダル賞2006
ナダル賞2005
ナダル賞2004

ナダル賞受賞作品

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2009/01/03

FELIZ AÑO NUEVO2009

 明けましておめでとうございます。

 私事ですが、暮れに風邪をひきました。ブログ更新どころか、年賀状作成も間に合わずに年を越してしまいました。よりによってこんな時期に、と思いましたが、今年の分の厄落としを済ませたと思って、前向きに生きていこうと思います(笑)。

 毎年、年初と年末に更新が偏っていくような気が……今年はそういうことのないようにしたいと。
 では、よろしくお願いいたします。

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2008/12/16

エラルデ賞2008

 11月に発表されたエラルデ賞です。

Casi_nunca

Premio Herralde de Novela
Daniel Sada:Casi nunca

finalista
Iván Thays: Un lugar llamado Oreja de Perro..

 受賞者、ダニエル・サダは1953年メヒカリ生まれのメキシコ人。1992年にビリャウルティア賞を受賞しています。どろどろの(嘘)三角関係のハナシなんですが、なんと自伝的要素が入っていると作家本人が告白してて、出てくる人もまだ生きてるから発表したらどんな騒ぎになるかわかんないよーって……それってヤバくないんですか(^^;
 
 次席のイバン・タイスはペルーの人。1968年リマ生まれ。フジモリ政権の時代、新聞記者が主人公の話のようです。
 イバン・タイスのブログもついでにリンク貼っておきます。

 Moleskine literario

◆ Daniel Sada gana el Premio Herralde (EL PAÍS)

エラルデ賞2007
エラルデ賞2006
エラルデ賞2005
エラルデ賞2004

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2008/11/18

Premios de la Crítica2007

 Los Premios de la Crítica(批評家協会賞)をしばらく取り上げていませんでした。これは前年に出版された作品が対象なので、今年4月に発表されたのは2007年分ということになります。

 四つの公用語(カスティーリャ語、カタルーニャ語、バスク語、ガリシア語)×小説・詩部門で、合計8部門。

 Premios de la Crítica2007
 カスティーリャ語・小説 Rafael Chirbes (España, 1949) por Crematorio
 カスティーリャ語・詩  Chantal Maillard (España, 1951) por Hilos
 カタルーニャ語・小説 Manuel Baixauli (Valéncia, 1963) por L'home manuscrit
 カタルーニャ語・詩  Joan Margarit (Catalunya, 1938) por Casa de Misericòrdia
 バスク語・小説     Jokin Muñoz (Euskadi, 1963) por Antzararen bidea
 バスク語・詩       Jon Gerediaga (Euskadi, 1975) por Jainkoa harrapatzeko
 ガリシア語・小説   Luis Rei Núñez (Galicia, 1958) por O señor Lugrís e a negra
 ガリシア語・詩    Helena de Carlos (Galicia, 1964) por Vigo

Crematorio
 ラファエル・チルベスはバレンシア自治州生まれ、1988年に処女作 Mimoun がエラルデ賞次席。
 カスティーリャ語詩部門のチャンタル・マイリャール(シャンタル・マイヤール)は以前ご紹介したように、premio Nacional de Poesía2005年受賞。 
 カタルーニャ語詩部門のジョアン・マルガリは1981年に続いて2度目の受賞。今年のPremio Nacional de Poesíaも受賞しています。

 書いていなかった2年分は、カスティーリャ語の分だけ。

 Premios de la Crítica2006
 カスティーリャ語・小説 Eduardo Lago (España, 1954) por Llámame Brooklyn
 カスティーリャ語・詩  Julia Uceda (España, 1925) por Zona desconocida

 Premios de la Crítica2005
 カスティーリャ語・小説 Ramiro Pinilla (España, 1923) por Verdes valles, colinas rojas III. Las Cenizas del hierro
 カスティーリャ語・詩  Eloy Sánchez Rosillo (España, 1948) por La Certeza

 2006年度はナダル賞のエドゥアルド・ラーゴでしたね。
 もうひとつ、2006年度ガリシア語小説部門は Manuel Rivas (Galicia, 1957) por Os libros arden mal でした。

 2005年度のラミロ・ピニーリャは、実はビルバオ生まれなんですが執筆はカスティーリャ語。1960年にナダル賞、1972年プラネータ賞次席、このLas Cenizas del hierroは三部作の完結編、国民小説賞(Premio Nacional de Narrativa)も受賞のダブルクラウンです。

2004年度批評家協会賞
2003年度批評家協会賞

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2008/11/12

プリマベーラ賞2008

 また遡って、プリマベーラ賞。

Premio Primavera de Novela 2008 (XII edición)
Agustín Sánchez Vidal: Nudo de sangre
finalista - Luis del Val: Crucero de otoño.
Nudo_de_sangre  昨年の受賞者プレシアードと同じ1948年生まれのアグスティン・サンチェス・ビダル。サラマンカ県の小さな村出身です。サラゴサ大学の、映画史の教授。ああ、ルイス・ブニュエルやカルロス・サウラの映画の研究書などを書いている人ですね。1988年、Buñuel, Lorca, Dalí: el enigma sin fin で《Espejo de España》エッセイ賞を受賞。2005年にLa llave maestraで小説デビューし、第二作目で今回の受賞となりました。

 受賞作は植民地時代のペルーが舞台。アタウアルパの財宝、イエズス会士の追放……ということは、タイトルの nudo はキープのことでしょうか。

 次席ルイス・デル・バルは1944年サラゴサ生まれ。1988年カフェ・ヒホン賞受賞のBuenos días, señor ministro をはじめ、小説やエッセイを執筆しています。ジャーナリストとしても活躍。また、2004年から「3分で読める話」を対象にした"Luis del Val"短篇賞というものもできています(カスティーリャ語・アラゴン語の2部門)。今回の作品は、地中海が舞台で、主人公は隠居したスパイ、だとか。

◆ リンク: Agustín Sánchez Vidal gana el Premio Primavera de Novela(EL PAIS)

◇ 2007年プリマベーラ賞(含2006年データ)
◇ 2005年プリマベーラ賞
◇ 2004年プリマベーラ賞

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2008/11/10

ソル・フアナ賞

 2月にブレーベ叢書賞を受賞したばかりの Gioconda Belli ですが、もうひとつ受賞のニュースが入ってきました。

premio Sor Juana Inés de la Cruz 2008
Gioconda Belli : El infinito en la palma de la mano

 毎年11月~12月にメキシコのグアダラハラで開催されるブックフェア、Feria Internacional del Libro (FIL) de Guadalajara(今年は11月29日から12月7日)があるのですが、その時に授与式が行われるそうです。

 このソル・フアナ賞、1993年創設で、スペイン語で出版された女性作家による小説に与えられます。賞金のほかに英語への翻訳出版オプションが付くとか。ちなみに過去の受賞者で、これまでこのブログでご紹介した作家というと、1997年受賞、コロンビアのラウラ・レストレポが。

◆ リンク: La nicaragüense Gioconda Belli gana el Premio Sor Juana 2008 (La Jornada)

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2008/11/06

アルファグアラ賞2008

 今年の文学賞を振りかえる、第2弾。2月25日発表のアルファグアラ賞です。

XI Edición del Premio Alfaguara de Novela
 Antonio Orlando Rodríguez: Chiquita

9788420472942
 アントニオ・オルランド・ロドリゲスは1956年 Ciego de Ávila (キューバ)生まれ。 児童書、特に昔のハバナを舞台にした短篇を 多く書いている一方、ラテンアメリカの児童文学に関する研究書も多数。
 受賞作は、19世紀末から20世紀初頭にかけて、踊り子/歌手として活躍したエスピリディオナ・センダという実在のキューバ人女性を描いたフィクション。"Chiquita" というタイトルは、主人公が身長66センチ(!)、“la muñeca viviente”(生きている人形)と呼ばれたことから来ています。新聞記者に自らの波瀾の人生を語る、という体裁のよう。

◆ Orlando Rodríguez gana el Premio Alfaguara (ELPAÍS)

◇ 2007年アルファグアラ賞
◇ 2006年アルファグアラ賞
◇ 2005年アルファグアラ賞

◎ アルファグアラ賞受賞作品

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